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「良いことをすると良いことがある」という当たり前の話

先日、こんな話を耳にしました。主人公はあるタクシーの運転手。バドミントンと掃除とバイクが好きだという五十代の男性のAさんです。Aさんの休日は掃除から始まります。午前中いっぱいかけて家の中を徹底的に磨き上げるそうですが、特にトイレ掃除は気合いが入るとか。設備会社で働いていた経験をいかし、便座は外して風呂場で水洗い。極めつけは便器の縁に小さな鏡を当て、見えないところの小さな汚れまでひとつ残らずきれいにするそうです。

「トイレをピカピカにすると運が良くなると言いますけど、どうですか?」と尋ねられると、「トイレ掃除をした次の日はたしかにお客様が多いですね」とのこと。他の運転手が2時間以上も粘ったのに撃沈したタクシー乗り場にAさんが入れ替わりで行くと、5分もしないうちにお客様が乗り込んできて、しかもかなりの遠距離へ。そんなことが珍しくないそうです。

掃除が終わったら午後はバドミントンの時間。Aさんは30年のキャリアと実力の持ち主で、仲間と一緒に夜遅くまで汗を流します。「休みの日に朝から丁寧に掃除して、みんなでバドミントンして、たまにバイクにも乗って、これが私の最高の楽しみなんですよ。人生は一度だけだから一日一日を大切に過ごさないとね」。Aさんは、小さい頃に祖母から言われた「一日一善」を今でも心掛けているそうです。「良いことをすると良いことがあるんだよ。神様は見ているんだねぇ。不誠実なことはできないよ」。

考え方が人生をつくっていくと言ったのは京セラ創業者の稲盛和夫氏です。人生や仕事の結果は「考え方×熱意×能力」だから、どんなに熱意や能力が高くても考え方がマイナスだと結果はマイナスになってしまうというわけです。経営者として自分の熱意や能力を存分にいかせる考え方をしているだろうか。お客様に喜んでいただけるよう誠実に良い仕事を追いかけているだろか。Aさんのことを思い出しながら、ふと自問自答する今日この頃です。

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